望美は、綺麗な子だったけれど。
高2の冬休み明けから、まるで別人のように綺麗になっていた


アナタの居る世界、アナタが居ない世界 弐


春日望美。
それは、中学に入ってから友達なった子の名前。

綺麗なのにそのことを自覚していなくて、ちょっとドジで歴史がてんで駄目だけどそんなところが可愛い、友達。
親友といってもいいくらい、仲のいい友達なんだけど。
…ある日から、望美は私の知らない望美になった。

「望美、おそーい!」
「ごめーん!」

高校を卒業してすぐ、私たちは高校から一番近い駅に集合した。目的は、卒業旅行、だ。
卒業旅行を計画したのは、夏休みにはいるちょっと前。
遠出するお金なんてないけれど、羽は伸ばしたい。
そんな私たちが選んだのは、ネズミがマスコットのテーマパーク。
近くのホテルを取って、1泊2日で両方楽しむ予定を組んだので私たち4人は今からわくわくしている。

「卒業してまだ10日も経ってないのに久しぶりだよね〜」
「ホントホント。馨ったら卒業した翌日にピアス開けたんだって」
「えー、どうだった?」

女の子特有の、お洒落やメイクの話。そして卒業してからの近況。
私のピアスを開けた話から、美由のバイトを始めた話に理佳子の地方にある大学進学に伴う引越しの話。
卒業してたった1週間なのに離すことはたくさん。
でも、きっとテーマパークについてしまえば、今以上にはしゃいでしまうんだろう。

「ねぇ、望美のその…イヤリング?凄い綺麗だね」

おしゃれに対して一番目ざとい美由が髪に隠れて見えなかったイヤリングを目ざとく見つけた。
そして、その言葉に私たちも望美の耳に注目すると、今まで話の聞き役に徹していた望美が少し顔を紅くした。
…顔を紅くはしたけれど、それでもその表情は明るくない。

「うん、貰い物なんだ。…きっと最上級のものだと思う」

何かを思い出したのか、切なそうな表情で大切そうに耳を…イヤリングを触る望美。
…その表情に、聞いていいのかいけないのか、少し躊躇う。
でも、それに気づいているのは私だけのようで、理佳子も美由も恋バナの予感にワクワクしている。勿論、私も恋バナだったら聞きたい。望美は、美形の幼馴染に囲まれて育っていたからか、今まで告白はされたことがあっても誰とも付き合ったことがなかった。そんな望美にもしかしたら、恋人の存在が!?と思わずにいられない心理はよくわかる。

「誰から貰ったの?!」
「好きな人?」
「…話は、夜ね。乗り換えに時間かかるんだから、早く行こう?」

電車のアナウンスは乗換駅の東京駅へ着くことを告げていて。
彼女たちはしぶしぶ諦めて、開いた扉を通っていった。

ごめんなさい、オリキャラを出してしまいました…。
しかも続くし

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